はじめに:AIが「怖い」と感じていた頃の私
正直に言うと、少し前まで私は AIに対してかなり慎重な立場 をとっていました。
ニュースやSNSを開くたびに、
- 「AIが仕事を奪う」
- 「AIが人間より賢くなる」
といった強い表現の見出しを何度も目にして、そのたびに胸のあたりがざわざわして、
そっと画面を閉じてしまうこともよくありました。
「なんだか不気味だし、自分とは縁のない世界だろう」そう思って、意識的に距離を置いていたんです。
そんな私の考えを揺らしたのが、ある日の職場での会話でした。
「この資料、ChatGPTにたたき台を作ってもらったんだよね」
同僚がさらっとそう言った瞬間、思わず「え、あのAIに?」と声が出ました。
頭の中には、無機質なロボットが、感情のない声で話しているイメージ。
「相談したら全部データを抜き取られるんじゃないか」「もし嘘を教えられても、自分は見抜けないかもしれない」
そんなモヤっとした怖さが、じわじわと湧き上がってきました。
※これは当時の私の「不安なイメージ」であって、実際の挙動そのものを正確に表したものではありません。多くのサービスでは、データ利用の範囲やオプトアウト設定が用意されていますが、その内容はサービスごとに異なるため、利用前にプライバシーポリシーや設定画面を確認することが大切です。
…とはいえ、仕事は容赦なくやってきます。
資料作成、メール、企画書、調べもの。
日々に追われるなかで、ふと心の中にこんな問いが浮かびました。
「このままAIを避け続けて、本当に大丈夫なんだろうか?」
AIが怖い。でも、何も知らないままでいるのも、少し怖い。
その二つの「怖い」のあいだで揺れながら、私はついに、ChatGPTの画面を開いてみることにしました。
この記事では、
- AIが怖かった私が、実際にChatGPTを使ってみて感じた 3つの印象的だった瞬間
- そこから見えてきた、便利さと注意点
を、できるだけ自分の言葉で、飾らずに書いていきます。ここで紹介する話はChatGPTというサービスを中心にしていますが、仕組みや注意点の多くは、他の生成AI全般にも共通する部分があります。
なぜAIやChatGPTは“怖く”感じるのか?

まずは、「そもそも、なぜ私はAIを怖がっていたのか?」
ここを自分なりに言葉にしてみました。
たぶん、画面の前のあなたにも、どこか重なる部分があるかもしれません。
● 怖さの背景1:よく分からないものは、とりあえず怖い
一番大きかったのは、「よく分からないもの」への本能的な警戒心です。
- どういう仕組みで動いているのか分からない
- どこからが安全で、どこからが注意すべきなのか分からない
- 何を学習していて、どれくらい覚えているのかもピンとこない
人は、「正体がはっきりしないもの」に不安を感じやすいですよね。
そこに、断片的なニュースや噂が重なると、怖さは簡単に増幅されます。
● 怖さの背景2:仕事や将来と結びついた不安
もうひとつは、仕事や将来への漠然とした不安です。
ニュースや解説では、
- 「AIの登場で、仕事の内容や在り方が大きく変わっている」
- 「一部の業務は自動化される一方で、新しい役割も生まれている」
といった議論がされています。
ただ、見出しだけを追っていると、
「AIに仕事を全部奪われるのでは?」
というイメージが先に立ってしまいがちです。
私自身も、
- 「いつか自分の仕事も置き換えられるのでは?」
- 「AIを使いこなせない自分だけが、取り残されるんじゃないか」
そんな不安を、心のどこかに抱いていました。
実際には、「仕事があるか・ないか」という二択ではなく、「どの部分をAIが補い、人はどの部分で価値を出すのか」という形で、仕事の中身や価値の置き場所が少しずつ変化している、という見方もあります。
この視点は、のちほど「瞬間2」のまとめでも改めて触れます。
● 怖さの背景3:「感情がない存在」と話すことへの戸惑い
もう一つのモヤモヤは、「感情がない存在と対話する」ということ自体への戸惑いでした。
人と話すときは、表情や声のトーン、ちょっとした間(ま)で、なんとなく相手の気持ちや雰囲気を読み取ることができます。
でも、AIにはそれがありません。
- 「本当にこちらの意図を理解してくれているのかな?」
- 「それっぽい言葉を返しているだけなんじゃないか?」
そう思うと、自分の本音や悩みを打ち明けることに、どうしてもブレーキがかかりました。
ChatGPTの仕組みをざっくり整理
ここで一度立ち止まって、ChatGPTの仕組みをかんたんに整理しておきます。
ChatGPTは、「大量の文章データを学習し、文脈に合いそうな言葉の組み合わせを確率的に予測して文章を作るプログラム」です。
- 私たちの「心」を理解しているわけではありません
- 「気持ち」を感じているわけでもありません
- 「真実かどうか」を直接確かめているわけでもありません
あくまで、「こういう文脈では、こういう返答が“それらしく”見えやすい」というパターンをもとに、文章を組み立てています。
また、過去の会話についても、
- 人間のように「覚えておこう」と意識して記憶しているわけではない
- 一方で、設定によっては、過去の対話内容を蓄積し、パーソナライズ(好みの反映)に活用する機能が存在する
という仕組みです。(具体的な扱いは、利用しているサービスの設定やプライバシーポリシーを確認する必要があります)
この記事の中では、感覚的に「寄り添ってくれた」と感じた場面を紹介しますが、実際には 「入力した文章に対して、統計的に合いそうな言葉を返している」 という前提を忘れないようにしています。
イメージとしては、「真実を探している」というより、「大量の文字列の中から“次に続きそうな文字”を選んでいる」
そんな存在に近いと思います。
私のイメージが変わったChatGPTとの3つの瞬間

ここからは、私が実際にChatGPTを使ってみて、「うわ、これはちょっと印象が変わるかも」と感じた瞬間を3つ紹介します。
● 瞬間1:頭の中のモヤモヤが、言葉になって返ってきたとき
一番最初に試したのは、かなり個人的な相談でした。
「やりたいことは色々あるのに、何から手をつけていいか分かりません」
「今のタスクはこれとこれで、将来やりたいことはこれです」
「優先順位を一緒に整理してもらえませんか?」
…という、正直ちょっと恥ずかしくなるくらい長い文章を、そのまま投げてみたんです。
返ってきたのは、ざっくり言うとこんな整理でした。
- まず「緊急度」と「重要度」で分けてみましょう
- 仕事・将来の準備・趣味/自己投資に分類できます
- 今週中にやるならこのあたり
- 1ヶ月単位で見るとこのあたり
- 長期的に考えたいのはここ
画面を見た瞬間、「自分の頭の中のぐちゃぐちゃが、机の上にきれいに並んだ」そんな感覚になりました。
もちろん、AIが私の感情を理解したわけではありません。
ただ、私が書いた文章をいくつかの軸に整理して、落ち着いたトーンで見せてくれただけです。
それでもそのおかげで、「あ、私が本当に気にしていたのはこの部分だったんだな」と、自分の本音が少し見えた気がしました。
● 瞬間2:仕事の“ゼロ→イチ”がラクになったとき
次に試したのは、仕事の資料作りでした。
新しい企画の説明資料を作ることになり、「背景」「課題」「解決策」「スケジュール」などを整理しなければなりません。
そこで、
「○○というテーマの企画書を作りたいです。
想定しているターゲットは△△で、目的は□□です。
一般的な企画書の構成案をいくつか出してもらえませんか?」
と依頼してみました。
すると、数秒で、
- パターンA:王道の企画書構成
- パターンB:ストーリー重視の構成
- パターンC:数値・効果を前面に出す構成
といった“骨組み”が複数出てきたのです。
もちろん、そのまま社内に出せるわけではありません。
自社のルールや文化、具体的な数字は、自分で落とし込む必要があります。
それでも、「うーん、まずどんな流れで書くべきかな…」とゼロから唸っていた時間がごっそり減ったのは事実でした。
「AIが企画そのものを考えてくれた」というより、「自分のアイデアをのせる“たたき台”を素早く用意してくれた」という表現のほうが近いと思います。
一方で、ここには中長期的な注意点もあると感じました。
短期的には作業時間が減って便利ですが、最初からAIに頼りすぎると、
- 自分で構成を考える力
- 提示された案が妥当かどうかを検証する力
が弱くなってしまう可能性もあります。
実際、AIによって「単純作業が補われる一方で、人がより創造的な部分や判断が必要な部分に集中する」といった見方もあります。
だからこそ今は、あくまで
- まず自分で大まかなイメージを考える
- そのうえでAIに案を出してもらう
- 「どの案が自分の目的に合うか」「どこを修正すべきか」を人間側が判断する
という、「編集と最終責任は人間側」という前提を意識するようにしています。
● 瞬間3:苦手な分野の“学び直し”を助けてもらえたとき
三つ目は、学び直しのサポートとして使ってみたときです。
私はITまわりの専門用語が苦手で、ニュース記事を読んでいても、専門用語でつまずいて読み進められないことがよくありました。
そこでChatGPTに、「○○という言葉の意味を、中学生にも分かるレベルで教えてください。」と聞いてみたのです。
すると、日常生活の例え話を交えながら、かみ砕いた説明が返ってきました。
さらに、「今の説明のこの部分がまだよく分かっていません。もう少しやさしく、別の例えで説明してもらえますか?」と重ねて聞くと、視点を変えた説明を何度か提示してくれました。
そのやり取りの中で、
- 専門書でつまずいていた部分が、少しずつクリアになった
- 人には聞きづらい“今さらな質問”も、落ち着いて確認できた
そんな感覚がありました。
もちろん、ChatGPTは先生や専門家ではありません。説明が不十分だったり、誤解を生む説明になっていることもあります。
だからこそ私は、「分からないところを整理する“練習相手”」として使いながら、大事なところは必ず教科書・公的資料・信頼できるサイトなどで裏取りする という「ダブルチェック」を、学習プロセスの一部に組み込むようにしています。
使ってみてわかった「便利さ」と「注意点」
ここまで読むと「AIってすごい!」と感じるかもしれませんが、実際に使ってみて分かったのは、
便利さと同じくらい、注意点もはっきり存在する ということでした。
● ChatGPT(生成AI)が役立ったシーンをざっくり振り返ると…
私の場合、特に役立ったのはこんな場面です。
- 頭の中のモヤモヤを言語化・整理したいとき
- 企画書や資料の「構成のたたき台」がほしいとき
- 長文の要約や言い回しの言い換えが面倒なとき
- 苦手分野の用語を、かみ砕いて説明してほしいとき
どれも、「最終チェックと判断は、自分が責任を持つ」という前提で使ったときに、心強いツールだと感じました。
● 注意点1:もっともらしい“間違い”を出してくることがある
使っていて一番ゾッとしたのは、「もっともらしいトーンで、事実と違うことを言ってくることがある」 という点です。
ある概念の説明をお願いしたとき、その場では「なるほど!」と思ったのですが、後から専門サイトや本を確認すると、
- ニュアンスが微妙に違っていたり
- 前提となる情報が古かったり
- 場合によっては「そんな事実は存在しない」レベルの内容が混ざっていたり
ということがありました。
こうした現象は一般的に「ハルシネーション」と呼ばれます。
生成AIは「真実を探している」のではなく、「統計的にもっともらしく見える文字列」を優先して並べているため、見た目が論理的な文章ほど、間違いに気づきにくい という側面があります。
そのため私は、
- 公的な文書や専門的な内容には、その分野の信頼できる情報源を必ず参照する
- AIの回答は「一次情報」ではなく、「たたき台」や「参考意見」として扱う
というルールを、自分の中で決めました。
● 注意点2:個人情報・機密情報は入力しない
もうひとつ、強く意識したのが情報の扱いです。
悩みごとや仕事の相談をするとき、つい細かい事情まで書きたくなってしまいますが、AIサービスの多くは、入力した内容がサービス改善などに利用される場合があります(プランや設定によって異なります)。
そこで私は、自分ルールを決めました。
- 名前・住所・連絡先など、個人を特定できる情報は書かない
- 会社名や取引先名、内部の数字などの機密情報は書かない
- 実在の人物が特定されそうなエピソードは、抽象化してから書く
そして、「誰に見られても困らないレベルまで抽象化してから相談する」ことを徹底するようにしました。個人情報だけでなく、独自ノウハウや未発表の企画案、技術情報なども企業の競争力や知的財産に関わる大事な資産です。
下記の記事に情報の取り扱い方についてまとめました。読んでいただければより、理解できるようにしてあります。
➤生成AIに入力してはいけない情報とは?安全に使うための完全ガイド(2026年対応) | skyday
国家レベルでも、デジタル主権や技術安全保障の観点から、データや技術流出に慎重になる動きが強まっています。
企業や組織でAIを利用する場合は、
- 社内のガイドラインや規程に従うこと
- 機密情報や技術情報が外部に流出しないよう慎重に判断すること
が欠かせません。
※具体的な情報の扱いについては、利用しているサービスの 公式ヘルプやプライバシーポリシー をあわせて確認しておくと、より安心です。
● 注意点3:悩み相談には“ここから先は専門家”というラインがある
正直に言うと、少し落ち込んでいた時期に、ChatGPTに気持ちを書いてみたこともあります。
- 文字にして吐き出すことで、感情が整理されたり
- 第三者のようなコメントをもらって、少し冷静になれたり
そういう良い面があったのも事実です。
ただ、使っていくうちに、明確に線を引いた方がいい領域 も見えてきました。
深刻なメンタルの問題や、命に関わる悩みは、AIだけに相談してはいけない。
ChatGPTを含む生成AIは、あくまで「言葉のパターンからそれらしい返答を生成するツール」であって、医師やカウンセラーのように専門的な判断をしてくれる存在ではありません。
- 体調やメンタルの不調が続いている
- 自分や他人を傷つけてしまいそうなほどつらい
- 法律・投資・医療など、人生を左右する判断が関わる
こういった場合は、AIではなく、必ず資格を持つ専門家に相談する必要があります。
もし、AIの回答を読んでいて不安やつらさが増してきたら、その時点でいったん利用をやめて、信頼できる人や専門機関に相談する。
それくらい慎重でちょうどいいと、私は思っています。
【重要】
AIは、利用者の精神状態を医学的に診断したり、治療的なアドバイスを行ったりするものではありません。
強い不安や不調が続く場合は、公的な相談窓口や医療機関の受診も検討してください。
私は今、「ChatGPTは、考えを整理する“壁打ち相手”にはなり得るけれど、自分の人生の重大な決断を委ねる存在にはしない」と決めています。
初心者が最初に試してみたいChatGPTとの付き合い方3ステップ

最後に、かつての私と同じように「AIがちょっと怖い」と感じている人向けに、最初の一歩の踏み出し方を3ステップでまとめておきます。
● ステップ1:普段の検索を、少し会話形式にしてみる
いきなり重い相談をする必要はまったくありません。
- 今日の献立
- 週末のお出かけ先の候補
- 趣味に関する情報整理
など、ふだん検索していることを、「友達に聞くみたいなテンション」で聞いてみるのがおすすめです。
ここで意識しておきたいのは、検索エンジン:情報が“どこにあるか”を探す生成AI:情報や考えを“どう整理・構成するか”を手伝うという違いです。
「最新情報を確認したいときは検索」「考えをまとめたいときはAI」というように、役割をざっくり分けておくと、誤解や行き過ぎた期待を減らせます。
● ステップ2:自分の作業の“一部分だけ”任せてみる
次のステップとしては、自分が普段やっている作業の一部だけを任せてみます。
- 長文の要約
- メール文の言い換え案
- アイデア出しのブレスト相手
など、「最後は自分でチェックできるもの」から始めると安心です。
「全部丸投げして完成品を出してもらう」のではなく、「たたき台を出してもらって、自分で整える」このスタイルだと、AIを“怖い存在”ではなく、作業を補助してくれるツールくらいの距離感で見やすくなります。
● ステップ3:AIの答えは“必ず比較・検証する”と最初から決めておく
そして、どのステップでも共通して大事なのが、「AIの答えは、必ず他の情報と照らし合わせる」
という習慣です。
- 気になる情報は、ニュースサイトや公式情報でも確認する
- 専門的な内容は、本や専門家の意見も見てみる
- 自分の感覚や経験とも、いったん照らしてみる
ChatGPTを「絶対的な正解」ではなく、「選択肢のひとつ」「考えるきっかけのひとつ」として扱うことで、怖さも、必要以上の依存も、少しずつ和らいでいくはずです。
まとめ:「怖い」と感じた自分ごと、否定しなくていい
ここまで振り返ってみて、一番強く思うのは、「AIが怖い」と感じていた過去の自分を、無理に否定する必要はないということです。
- よく分からないものを怖がるのは、自然な反応
- 仕事や将来が不安になるのは、真剣に生きている証拠
- 感情がない存在との対話に戸惑うのも、むしろ自然
むしろ、その「怖さ」があったからこそ、私は「どうすれば安全に付き合えるか」を真剣に考えるようになりました。
ChatGPTを使い始めてから、私の中の感情は、
「怖い」
→ 「よく分からないから怖い」
→ 「ちょっとだけ試してみようかな」
→ 「意外と、考えを整理するのに役立つかもしれない」
→ 「便利だけど、やっぱり距離感は大事だな」
と、少しずつ変化していきました。
AIを「完全に頼れる存在」と呼ぶには、まだ慎重さが必要だと思います。
でも、「自分の思考や作業をちょっと助けてくれる道具」
としてなら、少しずつ味方につけていくことはできそうだ、とも感じています。
もし今、画面の前のあなたが、かつての私と同じように「AIが怖い」と感じているなら――
今日は、ほんの小さな一歩で構いません。
「検索の代わりに、ひとつだけChatGPT(あるいは他の生成AI)に聞いてみる。」
その一回のやり取りが、いつかあなたなりの 「AIとのちょうどいい距離感」 を見つけるきっかけになるかもしれません。



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